ロータリーボイス

「あっちのほう」から「ここ」へ — 人びとの生活を変えるトイレ

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筆:Clem van den Bersselaar、オルモックベイ・ロータリークラブ会員(フィリピン)

フィリンピンの農村部に暮らす人に「トイレはどこ?」と聞けば、どの方向ともなくあごをしゃくって「あっちのほう」と言うでしょう。これはなぜかというと、村人たちはどこでもひと気がないところで用を足しているのです。女性はたいてい、のぞき見されたり襲われたりしないように遠くまで行かなくてはいけません。実際、地元の医療関係者に屋外で排泄するリスクについて聞くと、寄生虫や細菌への感染リスクだけでなく、女性が嫌がらせをうけたりいたずらされたりするリスクが高いことも教えてくれます。

2013年11月に、フィリピンのレイテ州に未曾有の大型台風「ハイヤン」が上陸しました。被災者2500万人、死亡者6000名近くと、島全体で大きな被害が出ました。

その直後に各国のロータリークラブが救援にかけつけてくれました。地元のクラブは食料を提供し、NGOと連携して住宅再建にとりかかりました。緊急に必要な救援物資が人びとに届けられると、次に問題になったのは水供給の復旧とトイレ施設の建設においていかに衛生条件を満たすかでした。

オルモックベイ・ロータリークラブは、WAND財団(Water=水、Agro-forestry=農林業、Nutrition=栄養、Development=開発)なら、NGO各団体と連携して、台風直撃直後のフィリピンのサマール州で2万基の仮設トイレを設置できると判断しました。WAND財団は、かつてスウェーデンのマルメインターナショナル・ロータリークラブと連絡を取り合ったことがあり、イタリアで開催された第8回多クラブ合同ワークショップでこのプロジェクトを提案するのは自然な流れでした。この提案が認められてグローバル補助金が申請され、2016年2月に承認が下りました。イタリア、フィリピン、スウェーデンから7つのロータリークラブと3つの地区が、この52,000米ドルのプロジェクトに参加しました。

 

活動内容は、各地の村や地区でトイレ222基、雨水集水器6台、共同手洗い所7カ所、バイオサンド・フィルター浄水器20台を設置し、地域社会の人びとのために地域主導の研修会も実施しました。その結果、1100名近い人びとが適切なトイレ施設を使えるようになり、600名近くがきれいな水を毎日使えるようになりました。研修会では、グループ討論や、水の汚染を防ぐトイレの使い方と水・衛生の健康面への影響を教えるワークショップが行われました。また、不衛生による病気の治療にかかる高額な費用について理解してもらうために、屋外排泄のリスクも話し合いました。

うれしいことに、このプロジェクト以来、この地域では寄生虫感染や下痢性感染が一例も報告されていません。今では、「トイレはどこ?」と聞けば、人びとは誇らしげに「ここだよ!」と答えてくれます。

支援する国際プロジェクトをお探しですか?英国ロンドンで開催される2017年度多クラブ合同ワークショップにご参加ください。第11回となるこのワークショップは、9月6~10日に開催されます。詳しくはこちらの記事またはこちらのウェブサイトをご覧ください。

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