SDGs:「つづく社会」へのキーワード

 SDGs市民社会ネットワーク 稲場氏・新田氏とのインタビュー ~

SDGs goals

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3月24日(土)、パリのユネスコでロータリーデーが開かれます。そのテーマは「SDGs(持続可能な開発目標)」。17の目標から成るSDGsは、今や日本社会でもキーワードとなりつつあります。

今回のブログでは、一般社団法人SDGs市民社会ネットワークの稲場雅紀氏(専務理事・事務局長)と新田英理子氏(地域連携アドバイザー)からSDGsについてお話をうかがいました。

世界の課題を包括的に網羅

稲場:SDGs(持続可能な開発目標)とは、途上国の「貧困をなくす」目標(目標1~6)、インフラ、労働、平等問題など「続く経済をつくる」目標(7~11)、環境問題(12~15)、民主主義や人権を含む「平和」(16)、そして「パートナーシップ」の目標(17)から成ります。つまり、前身であったミレニアム開発目標(MDGs)の1~6に、経済、環境、平和と民主主義の各アジェンダを入れたという、かなり包括的なものです。先進国も含め、今世界に存在する課題の多くがここに集約されていると言っていいでしょう。

日本の場合、多くの地域で持続可能性の問題、貧困、環境、人権など、遠い世界の問題だと思っていたことが、まさに今ここの問題として実感されつつあります。2016年4月に「SDGs市民社会ネットワーク」を立ち上げ、2017年2月に法人化させたのも、より包括的にSDGsをカバーできるNPO/NGOのネットワークをつくろうという趣旨からです。

「持続可能性」は日本でも大きな課題

Inaba

稲場雅紀氏

稲場:「持続可能性」とはいろんな側面があって、例えば国際協力NGOのように、プロジェクトをやった後にもコミュニティが自力でプロジェクトを続けていけるようにする「自立発展性」がその一つです。

SDGsの「持続可能性」にはそのほかの意味もあります。例えば、今の人類社会では、地球が再生産できる資源量の1.7倍を使っています。手遅れになる前に、持続可能な水準(つまり1.7倍を1倍)に戻し、しかも今の生活水準を落とさずに、地球を次世代につなげていかなければなりません。それが持続可能なアジェンダであり、「持続可能な開発」と呼ばれるものです。

さらに、先進国は人口減少の局面にあり、特に日本では「続かない町や村」という問題があります。例えば、昔やっていた祭りができなくなったり、農業従事者の平均年齢が60歳を超えるほどになり、産業の持続可能性も危うくなっています。ですから日本も、持続可能性の危機が実感されているのです。

政府、自治体、企業、市民社会をつなげるSDGs

稲場:今言った意味での持続可能性については、日本でも非常に関心が高いんです。中小都市では、高齢化とか、若い起業家が育たないとか、そういう課題もあります。地域でNGOや自治体、ロータリーといった団体の連携がどんどん生まれればいいと思います。実際に、創意工夫して多くの団体がいろんなことやっています。

営利企業とNPOのパートナーシップもかなり進んでいます。企業も、「今儲かればよい」というよりも「いかに長く続けていくか」という考え方に変わっています。回転が速くなって先が読めない時代の中で、かなり先を見据えた経営への転換が必要とされているのです。

SDGsという言葉は、普通に生活していると、まだあまり見聞きしないかもしれませんが、日本政府は、首相(安倍総理)がSDGs推進本部の本部長となり、全閣僚が推進本部のメンバーとなっています。2016年12月にはSDGsの実施指針をつくっています。既存の施策である「女性改革」とか「働き方改革」も、一応SDGsのラインアップにも並んでいます。自治体におけるSDGsの実施(地方での実施)も重要であると、アクションプラン2018には掲げられています。

もう一つ重要なことは、ビジネス界がSDGsに注目していることです。企業では、いわゆるESG投資(環境=Environment、社会=Social、企業統治=Governance)が潮流になりつつあります。儲かる儲からないにかかわらず、投資するときにこれら3つの要素を評価し、この指標に照らして総合的に考えて投資するというものです。日経新聞等でも毎日のようにESG投資に関する記事が出ています。日本経団連もSDGsを読みこんで企業行動憲章を改正しました。また、科学技術イノベーションとSDGsを結び付けて、SDGsの達成に寄与することを強調しています。

ですから、SDGsに関心を持ってみよう、ということが大事なんです。ビジネスでも政策でもSDGsでやろうという流れがあり、町の人口減少といった日々の課題もSDGsで結びつきます。社会貢献と地方自治体の取り組みが、SDGsが連結軸になって一つに結びついている、これが大事なポイントです。ですから、ロータリークラブにしても商工会議所にしても、自分たちで既にやっていることの中でSDGsにつながるのはどこかを探し、それをどう伸ばすかが一つの課題になると思います。

SDGsを「共通言語」に

Nitta

新田英理子氏

新田:私たちはよく「共通言語になる」という話をします。NPOはNPO独特の言葉遣い、ビジネスはビジネスの言葉遣い、行政は行政用語を使って活動をしているわけですが、SDGsの目標を達成するという視点からみると、「貧困解消」とか「持続可能な地域づくり」とか同じことをやっているわけです。達成したい目標を皆が意識し、SDGsを共通言語にすれば、連携が進むと思います。SDGsを、課題の一覧表またはチェックリストとして使っていただけたらよいと思うんです。

先日、横浜でSDGsのワークショップを実施した時に、自然エネルギー活用のために小学校に太陽光パネルをつけようという事業を進めておられる株式会社の方にお会いしました。太陽光パネルだから「環境問題の解決に寄与する」ということだけかというと、子どもたちへの「教育」にもつながるので、地元NPOと一緒に体験教育支援の一環とし、ただ取り付けるだけでなく、意味を学習したり、数字を記録したり、授業でも取り上げましょう、となります。そうすれば、テーマ型で動いている地域のNPO、ロータリークラブなどの地域奉仕グループ、自治体が協力する場ができます。今までは「あなたたちの理屈」「私たちの理屈」という「理屈合わせ」に時間がかかっていましたが、SDGsを共通の土台にすれば、取り組みがさらに加速化されるのではないかと期待しています。

ここで、もう一歩大切なことは、単にロゴと大くくりの目標に留まることなく、具体的なターゲットまで掘り下げてSDGsを読み解くことです。例えば、「目標10:人や国の不平等をなくす」という目標は、それを達成するために10のターゲット目標に分解されているのです。ターゲットの一つは、「差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する」となっており、より具体的です。

日本でも高まりつつあるSDGs

新田:今、SDGsをテーマとするイベントが増えています。私たちがやっているというよりは、企業や自治体が関心を持ち始めており、特に企業が実施するSDGsに関するイベントはすぐに定員になったりしています。先日、内閣府が地方創生とSDGsをテーマにさいたま市でイベントをやったら、3~4日で300人ほどの参加登録があり、抽選になったとも聞きました。

これは、地域のいわば「持続不能性」が他人事ではなくなっているからです。日本の中山間地域では、このままだと本当に村がなくなるという危機感があります。年寄りが取り残されて、病院にいきづらい、公共交通が確保しづらい。この前、大雪になりましたが、ちょっとした自然災害でも、大変なことになってしまう。日本全体で見た場合に、自然災害の復旧は人口減少の影響を直に受けています。以前に京都の渡月橋で水害が起きたときは地域の人たちが一週間ぐらいでお店を再開できるように復旧をしたけれど、人口のもともと少ないところで災害が起こった時には、復旧が厳しいという話をよく伺います。

稲場:災害で電車が壊れたまま復旧できないところや放置されているところも結構あります。過疎化や人口減少で電車を使う人が少なくなったからではないでしょうか。

新田:あまり結びつけて語られませんが、人口減少がインフラの脆弱化につながっています。これは私見ですが、元々開発しすぎだったんじゃないかとも思ったりします。30年先を考えて、これだけ水道管を伸ばしたり、橋をつくったりしてきたのかについては、今となっては疑問がわいてきます。道路や鉄道、住宅開発のために未だに里山が減っています。科学技術振興やイノベーションで「より豊かに、より楽しく」が進んでいます。一方、「続く世界」にするためには、それぞれの場所や地域に合った、規模は小さくても品質を良くする方向に向かうことを望んでいます。まさしく、目標12番、「持続可能な生産と消費の形態を確保する」です。地域の町では、地域でまわる経済を作ろうという動きも生まれています。

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SDGs市民社会ネットワークではイベント書籍『そうだったのか。SDGs』を通じてSDGsへの理解を推進しています。関心のある方は同ネットワークのウェブサイトまたはフェイスブックページをご覧ください。

(執筆担当:時山)

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