グローバル補助金 申請のヒント

寄稿者:宮里 唯子(茨木西ロータリークラブ会員、第2660地区財団委員長)

20150107_LK_055ロータリー財団の「グローバル補助金」をご存知ですか?どのクラブでも、海外のクラブと協同で申請でき、規模の大きい奉仕プロジェクトや奨学金、職業研修グループを支援できる補助金です。

ただし、グローバル補助金の申請に興味はあっても難しくて…というクラブが多いのも事実です。そのようなクラブに、私たちは以下のように助言しています。

【海外のパートナー(協同提唱者)の見つけ方がわからない】
グローバル補助金では、プロジェクト実施国の役割が非常に重大ですし、相互で密な情報交換などコミュニケーションも大切です。元々交流のあるクラブ(姉妹クラブ)があれば最も望ましいと言えますが、海外に姉妹クラブがない場合、地区内の他クラブから紹介してもらうことを検討してみましょう。また、現地のNGOとつながりがある場合は、このNGOに現地のロータリーを紹介してもらうのも良い方法です。全く交流したことも会ったこともないクラブより、一度でも顔を合わせたクラブの方がコミュニケーションは円滑になります。

【言語力が限られているのでパートナーとのコミュニケーションがうまくできない】
申請書は日本語でも作成できますが、その内容を実施国と援助国のそれぞれ代表提唱クラブが共有する必要がありますので、やはり英語が一番適しています。双方共に英語が苦手という場合は、実施国のクラブが現地語で作成し、プロジェクトの協力団体職員に英訳や和訳を外注するなどの工夫が必要です。定評があり比較的規模の大きいNGOと協力する場合は、現地に日本人職員が駐在していることもあります。

【単年性なので複数年度のプロジェクトがしにくい】
グローバル補助金は大規模な人道的奉仕活動のための補助金ですから、複数年におよぶ場合が多々あります。このような場合、クラブの戦略計画委員会で短期・中期の活動目標としてあらかじめ掲げ、計画的に取り組めば、それほど難しいことはありません。また、申請にかかるすべての書類は一元的に管理し、次年度の会長、国際奉仕委員長に引継ぎをしておきます。

【要件が厳しすぎる】
グローバル補助金の承認の要である「成果の持続可能性」を理解し、申請書や添付書類によって説明さえできれば、要件は決して厳しいものでありません。グローバル補助金では備品を寄贈するだけで、持続のための活動が含まれていないプロジェクトは認められません。活動計画の90%は、成果を持続させるための仕組みづくりと考えてください。たとえ予算計画の90%を寄贈品や提供する物品の価格が占めていようと、プロジェクト実施計画の90%はロータリアンや協力団体の活動計画がプロジェクト完了後の成果の持続性をいかに担保したかという説明が占めることになります。

グローバル補助金の『成果の持続可能性』を正しく理解する

当地区財団委員会は、全世界で新しい補助金モデルを導入した2013-14年度から、クラブのグローバル補助金申請のサポートをしてきました。申請クラブとともに補助金承認に必要な要素について研究し、資料などを参考にしながらグローバル補助金活用を推進してきた結果、現在当地区は人道的国際奉仕の承認件数は日本一だと思います。

Sustainability graphic

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プロジェクトの立案が進み、いざ申請書を作るとなるとなかなか難しい。その中でも特によくわからないという声が多く聞かれるのが「持続可能性」です。次は、プロジェクトの成果をプロジェクト完了後にも長く継続するためのヒントを当地区の経験から述べてみます。

前述のように、グローバル補助金の「成果の持続可能性」は財団の定める要件です。ロータリアンが貧困地域の学校に教科書を寄贈し、教科書さえあれば子供が勉強できるようになり、また新しい子供が入学してきてもまたこの教科書で勉強できるという環境は続く……これが「持続」だと主張するクラブがあります。教科書の寄贈は確かに継続を担保する一手段ではありますが、財団が要件とする「持続可能性」は受益社会の教育インフラの改善(教師の訓練など)です。財団補助金要件と個々のロータリアンが考える「持続可能性」を、しっかり区別して理解することも必要です。

以下は、財団の要件である「持続可能」なプロジェクトの例です。

  • 学校に教科書や教育資材を提供するなら、教師の教授スキルを高める訓練を実施したり、女子に教育は不要だと考えている父兄、地域社会の住民を集めて、女子教育の重要性を訴える啓発セミナーを実施する。
  • 村落に井戸を掘ったり給水設備を寄贈するなら、村落民に工事に参加してもらって所有者意識を高めたり、清潔な水がどれほど健康に必要か、水媒体の感染症に関する教育を実施する。
  • 病院に医療器材を贈呈するなら、それを扱う医療従事者の知識や治療技術を向上させたり、地域住民に食生活や公衆衛生の啓発をして、病気の予防や自宅療養のセミナーを開催する。
  • 肢体不自由な人びとに車椅子を提供するなら、併せて職業研修を実施して彼らが収入を得られるようにしたり、自立を促す。

支出計画についても、提供する設備や物品が現地調達できるのであれば、これも「持続可能性」につながります。将来必要になる部品や消耗品が、現地で調達できるということは受益社会が自ら入手できるということです。さらに、保守管理や部品、消耗品のための原資を補助金プロジェクトによって生み出すことができれば、さらに継続性が高まります(例えば、過疎地をドクターカーが巡回できるようにし、わずかな治療費を徴収する、あるいは地元住民に少額の使用料を払ってもらって井戸を管理していくなど)。

はじめに実施国の役割が非常に大きいと述べましたが、このように見てくると「持続可能性」を確かにするためのキーワードは、実施国の地元の自立とそのための研修や啓発にあることがわかります。このような成果と持続性を正しく理解することで、プロジェクトの目的やニーズの達成が具体的になり、いきいきとプロジェクトが見えてくると思います。

20130503_GH_224最後になりましたが、グローバル申請書を財団に提出すると、必ずと言ってよいほど追加情報の要請が来ます。少ない時で2~3件、多いときには10件以上の情報を要請されます。これを見て嫌気がさしてしまうロータリアンも多いのですが、この追加情報を財団に回答するというプロセスの中で、ますますプロジェクトや活動が磨かれる、つまり「地元社会の自立=成果の継続性」を高めていくことができます。財団が要請する質問への回答や情報には、実に多くのグローバル補助金活動のヒントや手がかりが含まれています。財団から追加情報の要請が来たら、地区内や近隣クラブにどんな情報を要求されたのかシェアしてあげてください。プロジェクトの立案に大いに役立つはずです。このような情報のシェアが、グローバル補助金のための大変重要なもう一つのリソースだと私は考えています。

私見も交え、私の経験からグローバル補助金承認のヒント(と思われる点)を書いてまいりましたが、皆様のプロジェクトにお役に立てそうでしょうか?

【関連リンク】
>> ロータリーの補助金について
>> グローバル補助金について
>> グローバル補助金ガイド
>> ロータリーの重点分野ガイド

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