米山奨学生の視点から【3】:日本の小説との出逢い

5寄稿者: チュオン・トゥイ・ラン
(2006‐07米山奨学生、ベトナム)

お茶の水女子大学大学院に留学
世話クラブ:大宮北東ロータリークラブ

私は、ある日系企業で普通のOLとして働くかたわら、趣味で日本の小説を翻訳しています。翻訳を始めた10年前は、こんなに長く続けられるとは思いませんでした。数えてみると、もう13冊を翻訳しています(2番目の写真)。

初めて日本語で日本の小説を読んだのは、日本に留学中の2005年でした。読んだのは、世界中でベストセラーになっていた村上春樹の『ノルウェイの森』。なぜ『ノルウェイの森』かというと、もうすぐそのベトナム語版が発行されるという噂を聞いて、関心を引かれたからです。

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しかし、そのベトナム語版は、原著の日本語からではなく、英語から翻訳されたものだと知りました。いつの日か、日本の小説を日本語から直接翻訳したいという夢をもったのはそのときです。

それがきっかけとなり、毎日、日本の小説を読むようになりました。日本では古本屋がたくさんあって、ほぼ新品の中古本を安く買えたから、とても有難かったです。

ベストセラー翻訳を通じた出会い

2007年、留学を終えて帰国。

2008年にまさに縁といいますか、大学時代の先輩の紹介で、『ノルウェイの森』のベトナム語版を出した出版社から依頼を受け、東野圭吾の『容疑者Xの献身』を翻訳しました。

その翌年、『容疑者Xの献身』のベトナム語版が出版されました。自分の名前が載った本を手にし、心臓が飛び出すほど、ドキドキしました。

22011年には、『窓ぎわのトットちゃん』(著者:黒柳徹子)の翻訳のチャンスが巡ってきました。子どもの頃から好きだった本なので、自分が翻訳する日が来るとは夢にも思いませんでした。

翻訳は3カ月ぐらいで完了。黒柳さんからサインをもらい、いわさきちひろ(画家、トットちゃんの絵を担当)の作品展示会で翻訳者としてベトナム人の読者とも交流できました。「自分は有名になったの?」と思ってしまった一瞬です。

高橋源一郎の『さようなら、ギャングたち』を翻訳したときも、国際交流基金の招待で、ベトナムに訪れたご本人と会うことができました。

そして2015年、10年前に心に抱いた夢を叶えることができました。村上春樹の短編小説集『女のいない男たち』を翻訳できたのです。

翻訳を通じた、たくさんの出会いと成長がありました。

現代のベトナムを伝えたい

趣味から始めたこの仕事を、これからも焦らずに続けたいです。

いつかベトナム語の小説を日本語で紹介したいという夢もあります。今まで、日本語に翻訳されたベトナムの小説は少なく、そのほとんどが戦争を背景としたもので、現代のベトナムを語る小説はまだ翻訳されていません。

ベトナムの小説を日本語に翻訳することで、私のような戦後に生まれた世代を紹介できればと思います。3

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