米山奨学生の視点から【4】:剣道世界選手権に挑む

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楊 敢峰さん(中国、2004-05米山奨学生、筑波大学大学院に留学、世話クラブ:水戸南ロータリークラブ)

楊 敢峰さんとの一問一刀 !

2018年9月14~16日に世界剣道選手権が開かれます。ほとんどの過去大会で日本が優勝しているものの、最近は諸外国チームからの突き上げがすさまじく、幼いころから竹刀を握って育った日本人選手が苦戦を強いられることも珍しくはなくなりました。とくに今回は、いつも接戦となる相手、韓国の地元での開催。優勝への道のりは今までにも増して険しくなりそうです。

そんな中、「剣道は世界平和につながる」と信じて、中国から参加する元米山奨学生がいます。楊敢峰(ヨウカンホウ)さんです。筑波大学大学院で武道を学び、現在、水の都として知られ、高層ビルも立ち並ぶ蘇州で剣道を教えています。

前回の選手権では中国代表チームの大将として出場し、アキレス腱を切るアクシデントに耐えながら、歴史的な勝利をチームにもたらしました。今回はコーチとして選手たちを導きます。

剣道が好きな理由として「交剣知愛」をあげる楊さん。この度、出発直前のインタビューを行いました。

――― 筑波大学剣道部の練習は、楽しかったですか。辛かったですか。

楽しくもあり、つらくもありました。技量レベルは非常に高く、運動量も多かったのですが、私は30歳でしかも剣道初心者。ほかの部員との稽古は大変苦しかったです。また、当時は日本語がよく分からず、どうすればよいのか分からないことも多かった。友人もなく、孤独で辛かったです。

ある日の寒稽古のとき、先生(香田郡秀氏)に稽古をつけてもらうために列に並んで順番を待っていました。しかし、みんな先を争って稽古を求め、いくら待っても順番が回ってきません。ついに私は道場を後にして防具を解き、あきらめて中国に戻ろうとさえ思いました。そのとき、香田先生が私を追って更衣室まで来てくださり、練習を続けるよう言いました。このとき声をかけてくださらなければ、道場には戻らず剣道の道はあきらめていたと思います。毎週金曜日午後、香田先生は私に剣道の面の打ち方を教えてくれました。忘れられない思い出です。

――― 日本での留学生活で、大変なことはありましたか。

日本での留学生活は大変でした。妻や息子を連れて来ていたため、経済的負担が非常に重かったのです。米山奨学生に選ばれたおかげで、剣道に打ち込むことができ、修士課程を修了することもできました。

世話クラブのカウンセラーだった高野賢さんと奥様は、私や家族をいつも助けてくださり、常に心にかけてくださっているのを感じていました。私たち家族を水戸観光に連れて行ったり、日本文化を教えてくださったり、水戸東武館を紹介してくださったりしました。

――― なぜ中国で剣道を教えることにしたのですか。

中国で剣道を教えることは私の仕事であり、自分の専門知識を発揮することができるものです。中国人に剣道を理解してもらい、剣道のきまりを学んで心身を修練してもらいたいです。国民の身体能力や精神力を高め、中国の精神を取り戻してほしいと感じています。

剣道を教えるときは、やはり礼節の大切さを教えること、これが最も重要だと思っています。剣道は日本の武道です。防具を着用して竹刀を持ち、一対一で試合をする日本の伝統的な武道の一つだと言っています。剣道の中には中国の伝統文化が多く含まれており、みな剣道の技術を学ぶだけでなく、同時に人として大切なことを学ぶことができます。

――― 楊さんは「剣道が人間形成の道」だとお考えですね。

剣道は人格を高め、互いを尊重し、互いを大切にする。争いはなく、交流し、共に高め合うものです。

蘇州にある私の剣道館に来たばかりの生徒たちは、多くが中国人の子ども、あるいは大人なのですが、練習の際に礼節を理解せず、ただ技術を学びたいと希望する人が多いです。剣道を学ぶうちに、剣道とは「礼に始まり礼に終わる」ということが分かるようになり、道場に入るとき、また、出るときには必ず一礼し、先生や仲間にもお辞儀をするようになります。竹刀や防具をまたぐようなこともしなくなります。

稽古においては相手の安全を考えなければならず、一方的に打ち負かしてはなりません。もし一本を取られたとしても、相手に感謝しなければなりません。こうしたことが人格形成に大変役立つものと思っています。

「中国チームの良いところは?」と聞くと、「団結力があり、互いを心から信頼して試合に臨むところ」だと楊さんは話します。しかし、中国チームはそれだけではありません。前回の世界選手権では団体ベスト8に入っており、いつでも表彰台を狙える力を有しています。

出発を直前に控え、コーチとして、選手一人ひとりに気を配りながら全体を調整することは、おそらく選手よりも大変かもしれません。そんなとき楊さんは、「自分の頑張りを知ってもらうことがロータリアンへの恩返し」と自らを鼓舞します。

このチームを築き上げた土台には、ロータリーの、そして米山梅吉から今に受け継がれる、平和への願いが確実に生きています。関心は日本チームに向いてしまうと思いますが、中国代表チームの活躍にもご注目ください!
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(執筆担当:加藤まさ)

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