バンクーバーでのRI会長主催平和会議に参加して

寄稿者:中前 緑(東京米山ロータリーEクラブ2750、香港在住)

Vancouver_pic 2

分科会の様子

今年2月、私が参加している日米クラブ合同奉仕プロジェクト「Heiwa: Rotary Hiroshima Survivor Trees」チーム関係者が、カナダのバンクーバーで開催されたRI 会長主催平和会議に参加しました。私自身、RI会長主催平和会議には今回で2度目の参加で、バンクーバーは私が20代後半に過ごした懐かしい場所です。

この会議では、松井一實広島市長より川妻二郎パストガバナー(原爆体験者)に託されたビデオメッセージと記念品をお預かりし、広島から平和を願う心をお届けするという大切な役目がありました。会議実行委員会に挨拶に伺ったところ、一同が作業の手をとめ、日本から唯一の講演者である川妻パストガバナーを拍手で迎えていた光景は今でも忘れられません。松井市長はビデオの中で、163カ国7558都市が加盟中の平和首長会議の活動とその意義について語られ、ともに一体となって核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を目指していこうと呼びかけられました。

vancouber_Steve Yoshida

Heiwaチーム代表 スティーブ・吉田パストガバナーからイアン・ライズリー会長に全体会議で被爆樹木の贈呈

「Heiwa: Rotary Hiroshima Survivor Trees」は、2013年に広島で開催されたロータリー平和フォーラムがきっかけとなって生まれたプロジェクトです。広島の原爆を生き抜いた「被爆樹木」から採取した種を育てた苗木の植樹したり、種を希望者に届ける活動をしています(参考記事)。今回の平和会議で私たちが主催した分科会には、被爆樹の種を育てる決意を固めてきた人、ご親戚が零戦操縦士で神風特攻隊だったというカナダ人と日本人のご夫妻、広島で親戚を亡くされた方、タンザニアで植樹活動をしているイギリス人など、いろんな方が出席してくださいました。限られた時間でしたが、参加者は熱心に映像や発言に聞き入っていました。植物検疫についての質問もあり、プロジェクトの担当者が検疫手続きと苗の育て方について説明する場面もありました。

また、ライズリー会長ご参加の下、現地のヴァンデュッセン植物園に被爆イチョウの苗を植える機会にも恵まれました。今回希望者に託した被爆樹木の種は、昨年11月に当地区米山記念奨学委員会が学生とともに、広島研修旅行の際に大切に採取・保管し、アメリカ経由でカナダに届いたものです。

Vancouver_pic 3

ブースでは、地域で展開する平和推進活動について意見交換をしたり、日本人ロータリアンとゲストが一緒に折鶴を折るなど、大切な時間を共有できました。また平和首長会議に参加する方法についての問い合わせもあり、米国の地域会議での講演依頼もありました。

歴史を知らない若い世代に語り伝えなければならないことは、過去の歴史と悲劇を語ることだけを重視するのではなく、過去を知った上で、自分や子供たちが歩む未来に向けてその教訓を日々取り入れ、行動につなげることの重要性です。今回の会議を通じて改めて感じたのは、子供たちのために平和な社会を願う気持ちは世界共通で、大切なのは一歩行動を起こす勇気をもつことです。日本人、アメリカ人、日系アメリカ人、中国人、私のように海外に住む日本人等、さまざまな背景と多様性を持ったメンバーやクラブが使命感をもって活動に参加しています。私の所属クラブは6カ国出身の米山学友・外国人会員と日本人会員で構成されています。

各地でそれぞれ情熱的に活動している方々から、その裏話を聞けたことは大変興味深かったです。 会長主催平和会議への参加は、ロータリーという国際組織の活動を知る貴重な体験となりました。何よりも、年齢を問わず精力的に国内外で活躍する大勢の仲間ができたことは、私の人生を変える大きな転機になったと感じています。

Peace Begins with You.   平和はあなたから始まる。
2013年ロータリー平和フォーラムのテーマより)

Vancouver_pic 1

スティーブン・リーパーさん、イアン・ライズリー会長、リチャード福原さん、関博子特別代表、川妻二郎パストガバナーとともに

【関連】
>> 平和の心を世界に広げる樹木
>> 2月は「平和と紛争予防/紛争解決」月間
>> ロータリーの重点分野:平和の推進

【最近の記事】
>> SDGs:「つづく社会」へのキーワード
>> 日本でも世界でもローターアクト50周年
>> ロータリーと女性

 

 

コメントを残す