自然から学ぶ人間のあり方

寄稿者:ロレーナ・ロドリゲス(ロータリー平和フェロー、国際基督教大学)

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田島さん(左から2人目)とロドリゲスさん(右端)

去る11月、私は栃木県に住む田島さんの農園を訪ねました。田島さんは、日本の農業家で思想家でもある福岡正信が提唱した「自然農法」を実践しています。福岡正信は、地球の存続と食料生産を両立させる道としての自然農法の確立に人生を捧げた人物です。

近代化により私たちは、より「洗練された」農法、すなわち、より早く作物を収穫し、より少ない肉体労働でより生産性の高い農法を追い求めてきました。社会は「食料生産の産業化こそが、繁栄し効率のよい未来にいたる道」であると信じています。その結果、私たちは、種子事業の民営化、単作農業の拡大、動植物の遺伝子組み換え、森林破壊、重化学物質の使用といった現象を目にしてきました。

環境の持続可能性を重んじる自然農法の基本は、種を入れた「粘土団子」を撒くだけです。あとは除草も害虫駆除もせずに、作物の成長をすべて土壌に任せ、収穫を待ちます。土の中に住むあらゆる生物の共生を尊重することで、人と自然との分け隔てがないことを理解する。その方法が自然農法であることを、福岡正信が示したのでした。

自然のバランスへの回帰
田島さんの農園では、あらゆるものが自然のままに生きています。木の剪定もしなければ、植物への水やりもしません。野生植物や野菜で青々としている畑は、自然のバランスを見事に保っています。さまざまな色、動物、植物、そして土中の有機体が、調和の中で生きています。田島さんが万物の自然なバランスを信じているからこそ、これほど多様な作物を育てられるのでしょう。農作業をほとんどしなくても、自然が自ずとバランスを整えてくれるのです。

自然とは互いに関連するシステムであり、何ひとつとして、ほかのことと切り離すことはできません。一つのことだけを研究しても、それで本来の姿を知ることはできません。例えば、クモだけを研究しても、稲に害を及ぼす特定のクモの影響を理解することはできません。どの分野の専門家でも、作物に対する害虫の影響を理解するには、昆虫、気候、土壌、植物の間にある複雑な関係を考慮しなければなりません。

これは社会のシステムにも当てはまります。人間は、あらゆる生き物で構成される有機的ネットワークの一部にすぎません。このネットワークでは、それぞれの生き物がいることで全体のバランスが保たれます。

命の大切さを理解する
農園を歩きながら、田島さんが種の話をしてくれました。田島さんは、交配種を播き、自然の力でそれらの種をきれいにしてもらうのだそうです。交配種から育った作物が種をつけ、それをまた播くことで種を純化していく。そうすることで、田島さんは命の尊厳を重んじています。生きとし生けるすべてのものを、田島さんのような人たちが守っているのです。

田島さんの農場を訪れて本当に良かったと思います。そこで得た経験のおかげで、これまでに学んだ知識を捨て去り、二元的な世界観や効率と生産性のみを重視した見方を超えて考えることができるようになりました。自然と自分とのつながりを取り戻すことで、命というもの、そして自分自身をより良く理解することができるでしょう。

【関連情報】
>> 広島への旅:「記憶」について考える(ロドリゲスさんからの寄稿記事)
>> ロータリー平和フェローシップについて
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